ベンチャーは人間関係が濃い。だから嫌われないための心理学が大事

以前、書いた記事ですが、ついさきほど同じような話題が立て続けに出て来たので(再掲)

企業の中では人間関係がストレスになりやすい。社会人のストレスの80%は人間関係によるものという統計がある。逆に人間関係が良好である場合、給与を20%カットされても、この仲間たちと仕事がしたいという人が70%もいる(組織心理学者・小林惠智博士による)。

上司部下関係、顧客との取引関係をうまくやっていくことができるかどうかは会社の中で楽しく仕事をする絶対的な条件だ。

だが、

人間には「相性」がある。相性の合う人もいれば、相性も合わぬ人もいる。とりわけ、相性が合いにくい場合というのは以下のような場合だ。前にも詳しく述べたことがある。

「感覚的、直観的な上司と論理的、合理的な部下」
「攻撃的、冒険的な上司と慎重で協調的な部下」
「こだわりの強い上司と周囲に左右されやすい部下」

このような関係に好き嫌いが出やすい。末吉はこの人間関係に翻弄されてコンサルティングファームの取締役を降りてしまった。45歳にもなってだ。今考えると恥ずかしいが当時は感情のやり場がなく、どうしようもなかった。

人間に性格があり相性のあう、あわないがある以上、人間の好き嫌いから離れては生きていけないだろう。

では、人に嫌われずに生きる、人を嫌わずに生きるにはどうしたらいいだろう。これが今日は本題だ。心理学では2つの考え方を提示している。

一つは「返報性の心理」といわれるものだ。「報(むく)いたいという気持ち」を返すと書いてある。簡単にいうと、感謝する人に、他人は感謝の気持ちを持ちやすいということだ。常に「ありがとうございます」という気持ちとその気持ちを言葉にしておけば、相手も感謝の気持ちを持ちやすい。あなたが感謝されているシーンを思いおこしてほしい。感謝されているうちに「いやあ、私こそお世話になっていますよ」と思わず口にしていることだろう。末吉は、少しドライの言い方かもしれないがまずは「ありがとうございます」と口に出すようにしている。それから急いで、何を感謝しよう?!と考えている。

もう一つある。「好感性の心理」と言われるものだ。相手を好きになると、相手もあなたを好きになる可能性が高くなるという考え方だ。自分にあこがれている様子の部下や同輩を想定してもらえるといい。自分のことを尊敬している者のことは多少うざくても、好感を持ちやすくなる。ウイヤツという気持ちにもなる。「あなたの態度や考え方が好きです」と明確に相手に伝えるべきだ。いやなことがたくさんあったとしても、かろうじて、いいところをさがし、ほめる、好きだという。そうすると相手も自分に対して好感がめばえてくる可能性は高い。

末吉は好き嫌いのはっきりした人間なので、敵も多い。ぶつかるような相手に対して敵意を脇において「この人の良いところはどこだろう?」と瞬時に一生懸命に考える。一つでも頭に浮かぶと、すこし心が軽くなっている。

2つとも心理技法だが、僕はこの2つの考え方を実践して、人間関係をラクにすることができた。ささいなことだけれど大切に。この2つのことをやっていると、気分も前向きになるよ。

参考文献
ロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか 』(誠心書房)