ワークデザインという仕事

ここにきてワークデザイン(業務設計)の仕事を続けている。もうワークデザイン・コンサルティングという事業を始めようかと思うぐらいだ。知見が集積し、しかもその企業や業界のベストワークのモデルを検討することは実に関心深く、奥が深いために離れられない魅力がある。


いわばベンチマーキングに近い仕事のようにも思えるが、人間がやることなので、感情というか意欲や個人に依存する能力に関わっているので、人間学的、心理学的に追求することが成果を出すことになる。最終的には、感情をのぞき込む手法がワークデザインだと思う。


目的においてもっとも成果を上げていると思われる複数の人物から、業務の工程と感覚、感情を聴き出し、業務の合理的で有機的な流れを模索する。特定の業務がどのような感情を引き出すかも注目している。心理学者チクセントミハイが言っているフロー体験に近い感覚があるかどうかだ。


どうも話を聴いていると、業務にドライブをかけているのは、自己目標化できるような成長作用の強いファクタを持ったワークデザインができている時のようだ。業務の担い手が、という意味でもあるし、チーム全体がという意味でもある。合理的な意味での効率的な業務構造ということもあるけれど、それは二の次だなと業務設計をやっていて強く感じている。ハーズバーグの言うような業務の充実化というよりもっともっと感情的で人間的だ。


この感情高揚要素と利益要素が重なった時に成果の上がるワークデザインが完成するというのが僕の持論だ。無理矢理重ねるわけではなくて、関係者の利益を考えながらなおこれは面白い仕事だと、有意義な仕事だと感じることができるようにプロセスの中に意志決定のタイミングが織り込まれていることが大事なんだ。


改めて、感情要素と利益要素の組み合わせについては報告したいと思う。


(メモ)
ワークデザインというのはリクルートに以前あったワークデザイン研究所(横山清和さん)が最初に言い始めた言葉のように記憶している。ワークデザイン研究所の発刊していた「Resumex」のバックナンバーを探したい。金井寿宏研究室にいた頃、全巻持っていたけれど、今は1号が残っているだけだ。