プロジェクトにヒューマンスコープを入れたい

 大ヒットしているテレビドラマにRookiesという青春ドラマがあってそこの出てくる平塚という青年をめぐるシーンをみてプロジェクトマネジメントについて大きな示唆があった。


 補欠候補の平塚選手は野球のセンスはないものの悪球に強くビーンボールがくると野生の感情がむき出しになりホームラン級の打撃力で打ち返すというシーン設定がなされている。恒常的な能力はまだ育成できていないが、土壇場力で能力形成と問題解決を両方実現できるというシーンだ。監督はそにれ気づきチームをあげて平塚選手に悪球を投げ込む。
 個性の問題ではなくチームの問題としてプロジェクトにはこのようなシーンが生まれることがある。


 異常事態の発生で急激な集中力を示し、尋常ならざる方法を開発し、決定的な解決をしていくということは大いにあるシーンだ。このようなシーンをプロジェクトの進捗の要所要所で再生産できれば、プロジェクトには起伏が生まれ、柔軟でしなやかな動きの体制が育まれ、あれよあれよという間に最良の成果を生み出しゴールを迎えることになるだろう。ジェットコースターに乗ってみる見たいで先が見えない!というのは生産性を高めるものではないが、明確なミッションのもとでゴール地点と大まかなシナリオが共有されているならば、具体的な進捗は徹底してドラマタイズしたほうがいい。場面場面で構想し悩み解決策を打ち出し検証するプロセスこそが豊かなプロジェクトライフを生み、人とタスクを完成させるように思える(プロジェクトを楽しむという発想のもとにプロジェクトライフマネジメントという概念を提案したい)。


 またこうも言えるだろう。プロジェクトマネジメントというのは、プロダクトスコープとプロジェクトスコープとヒューマンスコープを持つべきで、その三位一体こそが成果につながるということだ。プロダクトのスコープをプロジェクトスコープに置き換えさらにヒューマンなスコープに置き換えることでプロジェクトの全体設計が生まれる。ヒューマンなスコープまで視野にあればこそ、ドラマタイズも可能になるだろうということだ。登場人物が具体的に想定されてないドラマはないし、登場人物が魅力的に設定されればされるほどドラマが豊かな感動を生み出すものだ。


 プロジェクトマネジメントに登場人物の緻密な読み込みがないのはおかしいだろう。プロジェクトとは人の相乗効果で生み出されるものだからだ。プロジェクトマネージャーとはドラマプロデューサーであり、登場人物の緻密で正確な把握と、彼らが生み出すであろう、ドラマ=相乗効果を進捗場面ごとに埋め込む作業ができる人のことだ、と考えている。