東京大学の講義を聴講した

今日は東大で授業を聴講させてもらった。
佐伯胖名誉教授の「人間を科学する」という俯瞰的な講義だ。
まとまった授業を聞くのはひさしぶりなので半日とても興奮した。
実験心理学の行く末を学ぶと同時に学問、科学とは何かについて根源的に考えるとてもよい機会だった。
普遍性の高い原則論を学ぶことは僕の仕事の広範な部分に影響のあることだと感じた。


といってもそれはPCのディスプレイを通してだ。
東大はオープンコースウェアとして相当数の講義をウェブで公開している。
http://ocw.u-tokyo.ac.jp/about-ocw/index.html


僕は少し遅めの昼食をとりながらマックでサイト入り、現在の仕事と関係の深い講義を選び出しポッドキャストに取り込んだ。
まもなくituneに登録できて3時間におよぶ授業に入った。他の予定はすべて中止しこの講義に集中することにした。
居ながらにして高いレベルの講義をご飯を食べながら雑事を済ませながら聴講するのはなかなかの快感だ。学ぶという行為は日常の中に取り込まれいつでも必要なときに必要なだけ集中的に学ぶことが当然の世の中がやってくる。
意欲を強く持つならば、学びの障害が少ない。そのことが逆に、いつでも学べるから後回しにする意識を作り敷居を高くするかもしれないが、学習の必要性に目覚めた人には最高の環境だろう。
学び生かしたいと強く意識するならばも高度な学習環境が無料で手に入る。


この佐伯先生の授業は自分史とも言える内容で、実験心理学を依存した時期から、認知科学、シミュレーション論にいたる過程を一気にまなぶことができる。
自分史と学史を平行して説明されることがもっともわかりやすいように思う。
自己の成長と学問の成長が物語風にリンクされているからだ。
たぶん記憶にも強く残るだろう。


僕が学んだきわめて実験心理学的成果であるFFS論を、学問の流れの中に置き直して考えるきっかけになった。
認知科学が示唆しているスキーマ的要素の必要性や、状況論の中で個性を人間関係ばかりでなく広い関係性の中で見ていく考え方や、コビト論に個別的特性を加えることで精緻なモデルにできるのではないかという可能性など、アイデアが湧く。
いくつかの方向性が見えてきた段階だけれど、少し先が見えることがこれほど壮快だとは思わなかった。