価値創造に強くなれ

 価値意識をマーケティングの分野で考察してみよう。


 マーケティング分野では、機能的な便益に加えて情緒的的な便益を尊重する。つまり好感情を刺激し、ある生活価値観に帰着できるように商品と商品情報を形成しようとする。以前のように単なるブランドイメージの向上ではなく、断片的であっても生活の心情的豊かさを引き上げる感覚がメーカーの大きな関心事になっている。花王P&Gはその先頭を走っている企業だろう。


 僕には、価値は生み出すもの、創造するものという感覚が強い。サービス分野においてはサービス提供プロセスと提供者である労働者そのものの価値を引き上げることを創造する。価値を引き上げるものは端的に言ってポリシーであり、考え方だ。


 細部の差に大きな関心があるサービスにおいては、その細部へこだわる精神を行為に変換する意欲の形成が大事になる。つまり価値観だ。価値観を形成し徹底することに重大な意味がある。


 価値が高いものに高い金銭的対価が支払われることを考えると、サービス業においてはこの価値観、哲学がサービス対価を引き上げる最大のポイントではないかと思う。この分野の最大の成功者はディズニーランドやリッツカールトンのような感動体験系の企業だろう。単純な作業的労働にも神秘性があると考えられるのは価値観が伝播しているからで、価値が高いという先入観なくしては価値意識は形成できない。異常とも言える(そこまでやるか)体験をもとに口伝によって価値拡散していくさまがストーリーになり、マスコミュニケーションされることから先入観を形成していったのが両社だろう。


 僕は自分を含めたサービス事業者は同様の価値観を形成し新時代を切り開くべきだろう。