できそこないの男の遺伝子

福岡伸一さんの新書「できそこないの男たち」を読んでいてふと思ったことがある。


この本は女性の遺伝子の一部を改変して創られたのが男性であり、男性は女性遺伝子の環境変化に適応するために生まれた、ある意味特別な目的の生命体であると。
またこの遺伝子上の特性は多くの動物の中で共通していると書かれている。


例えばガンの罹患率一つとっても60歳をこえたあたりから男性のみ急激に増え、男女差は2倍近くになる。遺伝子レベルの制御が効きにくい生命体ということで、生命体としては不完全であり、計画された「できそこない」であることが説かれている。


生命にとって個体というのはあくまで部分であって、種を残すために最適化されているだけで実は生命は集合体としてみないといけない。男性はあくまでのその集合体のパーツと認識したほうがよいというのだ。いちいち納得できる内容だ。


長い間、組織心理学を追求してきたのだけれど、遺伝子レベルで考えるとこの組織、集合体の意味合いがさらに深いことに気づかせてくれる。