戦略思考における感情

戦略思考について講義をしていた。
その中での気づきを以下に書いておこう。


戦略思考というと論理思考を前提に考えることが多い。
僕もどこか戦略と論理を一つのもの、戦略は論理の延長上にあるもの、
という認識をしていたように思う。

でも、
企業経営の現場で使われる戦略思考という前提にたつとこの
定義は一面的なものにある。
ミスミのCEOで元ボスコンの三枝匡さんは、前半つまり戦略分析では徹底して
論理で進め、後半戦略実行では論理ではなく感情が重要になるという書き方を
している。
日経情報ストラテジーの07年の記事)


企業経営の数値分析はこれは客観であり統計的な帰納演繹的分析だろう。
財務だけではなく販売やマーケティングもそうだという言い方もできる。
これらの数値上の盲点を見抜くことはとても大切だ。
事象の数値化は抽象的な応用分析を可能にしてくれて、成果に影響する変数を見いだすことができる。
戦略思考は数値分析による論理思考だと言ってもいい。
戦略コンサルタントの行動の主体はこれだ。
戦略系コンサルタントの戦略思考といえばこれだけと言ってもいい。


あるいは、
原因を究明する、強みや弱みという経営資源を重要な要素を究明し応用法、解決法を見いだすという
合理的な論理の流れは、論理シナリオという形で展開できる。
これも、競争優位性や協奏優位性を確保するための戦略思考という言い方もできる。


しかし戦略は実行されてはじめて意味をなす、と考える必要がある。
いかにその結論が正解でも社員の意欲を喚起し、組織行動にするためには感情を揺さぶる体験や言動が
必要であり、分析にかけた金も行動し成果となることでリターンされることが最もたいせつだ。
感情的な買い方をする消費者、想定顧客の購入意欲を刺激するという意味でも
戦略的感情喚起は大切だと言っていい。


感情部分を含めて戦略思考を完遂させることがとても大切なことだと過去の講義を反省しつつ
おおいに感じたことだった。